WRITING TOOL GUIDE
CWstudioを作った理由から思想までお話しします
いろいろな小説執筆ツールを使っても自分にはフィットしなかった理由と、そこからCWstudioを作るまでに考えたことを紹介します。
2026年7月に、小説執筆ツール「CWstudio」をリリースしました。
そもそものきっかけは、自分自身が小説を書いてみようと思ったことです。まずは執筆するための道具を探し、いろいろなツールを触ってみました。
小説執筆ツールはすでにたくさんあります。それなのに、なぜ新しく作ったのか。
一言でいうと、いろいろなツールを触ってみたものの、自分にはどれもしっくりこなかったからです。
もちろん、既存のツールが悪いという話ではありません。それぞれに良いところがありますし、今も多くの人に使われています。ただ、自分がやりたかった書き方とは、少しずつズレがありました。
この記事では、そのズレが何だったのか、そこからどんな考えでCWstudioを作ったのかを、なるべくそのまま書いてみます。
小説を書こうと思って、まずツールを探した
小説を書くなら、まずは執筆するためのツールが必要です。せっかくなら自分に合うものを使いたかったので、小説特化型の執筆ツールやプロット作成ツール、Word、Googleドキュメント、Notion、Scrivenerなど、いろいろなツールを実際に触ってみました。
使ってみると、それぞれ良いところがあります。
Wordは縦書きや原稿のレイアウトに強いですし、Googleドキュメントは無料で手軽です。Notionは資料を自由に整理できます。小説特化型のツールはプロットや人物設定の項目が最初から用意されているので、何をまとめればよいか迷いにくい。Scrivenerは長編を管理する機能がとても充実しています。
ただ、しばらく使っていると、どのツールにも「ここがもう少しこうだったらな」と思う部分が出てきました。
本文を書くツールと、設定をまとめるツールが分かれてしまう
WordやGoogleドキュメントは、本文を書くツールとしては使いやすいです。
でも、プロットや人物設定、調べた資料まで一緒に管理しようとすると、ファイルを分けたり、別のツールを併用したりする必要があります。
本文はWord、人物設定はスプレッドシート、資料はNotion。そんなふうに分ければ管理はできます。ただ、執筆中に人物の設定を確認したくなるたび、別のファイルやアプリを開かなければいけません。
一回一回は小さな手間です。でも、長編を書いていると何度も発生します。この画面の行き来が、地味にストレスでした。
かといって、すべてを一つのWordファイルへ詰め込むと、それはそれで見づらくなります。
- 本文を書く場所と、作品を作るための情報を置く場所を、分けずに扱いたい。
まず、これが欲しいと思いました。
小説特化型ツールの「型」が自分には合わなかった
小説特化型の執筆ツールには、人物設定やプロットをまとめるための項目が用意されているものがあります。
たとえば人物設定なら、名前や年齢だけでなく、役職や血液型などを入力する欄があります。何を考えればよいか分からない人にとっては、とても親切な作りです。最初から型がある方が書きやすい人も多いと思います。
ただ、その型に自分の作品を合わせているような感覚がありました。
作品によって、細かく考えたい項目は変わります。血液型は必要ないけれど、その人物が他人をどう呼ぶかは残しておきたい。別の作品では、魔法のルールだけを細かくまとめたい。短編なら、そもそも人物設定をほとんど作らないこともあります。
用意された項目を埋めるより、自分で必要な項目を作りたい。使わない項目は最初から置きたくない。
これは完全に好みの問題です。ただ、自分はツール側が用意した型に沿う方法より、作品に合わせて自分で型を作れる方法の方が合っていました。
未入力の項目がたくさんあることが耐えられない性格なのです。
自由度が高いだけでも、執筆しやすいとは限らない
ではNotionのように自由度の高いツールならよいのかというと、それだけでも足りませんでした。
Notionは資料や人物設定をまとめるにはかなり便利です。ページやデータベースを自由に作れるので、作品ごとに好きな管理方法を作れます。
普段から仕事でも使っていて、最高のツールだと思います。
ただ、小説を書く上では、致命的な点が1つあります。ブロックエディタであることです。
小説のような長い本文を書く用途では、普通の文章エディタと比べてかなり癖があります。文章がブロック単位で管理される仕組みは、資料整理では便利ですが、本編を書いているときには気になることがありました。
Scrivenerは本文・構成・資料を一つにまとめられますが、機能が多く、操作も独特です。日本語の縦書きやルビ・傍点を重視する人には合わない部分もあります。
いろいろ触ってみて分かったのは、自分が欲しいのは単に「高機能なツール」でも「自由なツール」でもない、ということでした。
- 本文を普通の文章エディタの感覚で書ける
- プロットや資料も同じ場所に置ける
- 管理する項目は自分で決められる
- 機能が多くても、画面はごちゃごちゃしない
このバランスが、自分にとっては大事でした。
欲しいものがなかったので、自分で作ることにした
自分は普段、Webサービスのデザインや開発を仕事にしています。
いくつもの執筆ツールを試しながら、「この機能とこの機能が一緒に使えたらいいのに」と考えているうちに、ないなら自分で作ってみようと思うようになりました。
もちろん、執筆ツールは見た目以上に作るのが大変です。文章を入力できるだけでは足りません。データを安全に保存すること、オフラインでも書けること、複数端末で同期すること、長い文章でも快適に動くこと。考えることはたくさんあります。
それでも作ろうと思ったのは、理想的なものを作れる自信があったからです。
万人にとって一番のツールを作ろうとは考えていません。自分と同じように、既存ツールの型や使い方が少し合わなかった人に、別の選択肢を作れればよいと思っています。
画面分割は、最初から入れたかった
他のツールにはない、CWstudioの特徴の1つが、画面分割です。
執筆していると、プロットを確認したり、人物の口調を見直したり、前の章を読み返したりします。そのたびにファイルを切り替えるのではなく、見たいものを横に置いたまま書けるようにしたいと考えました。
CWstudioでは、複数のファイルを一つの画面に並べて表示できます。
- 左に本文、右にプロットを開く
- 人物設定を見ながら会話を書く
- 前の章を開いたまま次の章を書く
- 調べた資料を横に置いて描写を書く
画面分割自体は派手な機能ではありません。でも、既存ツールを使っていて感じた「行き来の面倒さ」を、そのまま解決するために作った機能です。
「自由だけどシンプル」を目指した
資料や人物設定の形式は、あえて固定していません。
まっさらなエリアに自由に入力し、必要に応じて簡単な装飾もできるようにしました。用意された項目に合わせるのではなく、作品ごとに必要な情報を、自分が使いやすい形でまとめるためです。
ただ、できることを増やすほど、画面や操作は複雑になりやすいです。自由に作れる代わりに、どこから触ればよいのか分からない。
なのでCWstudioでは、機能を増やすことと同じくらい、迷わず使えることを大切にしています。
ここでいうシンプルは、機能を減らすという意味ではありません。必要な機能は持たせつつ、普段は邪魔をしない場所に置く。初めて触ったときに、説明を読まなくても何となく使える。その状態を目指しています。
自由だけど、難しくない。 言葉にすると単純ですが、CWstudioのUIを考えるときは、いつもこのバランスを気にしています。
CWstudioが合わない人もいると思う
ここまで作った理由を書いてきましたが、CWstudioがすべての人に合うとは思っていません。
人物設定の項目を最初から用意してほしい人には、型のある小説特化型ツールの方が使いやすいかもしれません。提出用原稿の細かなレイアウトを整えたいなら、Wordや一太郎の方が向いています。とにかく高機能な長編管理を求めるなら、Scrivenerが合う人もいると思います。
CWstudioは、自由に情報を整理したいけれど、Notionほど自分で環境を作り込みたくない人。本文と資料を一つの場所に置き、必要なものを見ながら書きたい人。そういう人には、フィットする可能性があると思っています。
執筆のやり方は人それぞれなので、一つの正解を作るより、選択肢を増やす方が自然です。CWstudioも、その選択肢の一つでありたいと考えています。
これからについて
CWstudioは、2026年7月にリリースしたばかりです。まだ改善したいところも、追加したい機能もあります。
ただ、機能を増やす中でも、既存ツールを使って感じた違和感は忘れないようにしたいです。
- ツールの型を押しつけないこと
- 本文と資料を行き来しやすいこと
- 機能が増えても、操作を難しくしないこと
この3つは、これからもCWstudioの軸にしていきます。
使っていただいた方の意見も取り入れながら、自分自身も使いたいと思えるツールとして、少しずつ改善していくつもりです。
合う・合わないも含めて、まずは実際に触ってもらえたらうれしいです。
\ 記事をシェアする /
シェアしていただければ
励みになります!




